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内地(本土)ほどではないですが、沖縄でも段々と寒さを感じる時期となってきました。そんな時に筆者が考えるのは、今の時期と正反対の季節の撮影をするときの大変さです。撮影に季節は関係ありません。今回は季節外れのシーンの映像制作する際の過酷さと、それがゆえの奥深さについてのブログになります。

映像のオモテウラ

当たり前のことですが、今年の沖縄の夏も猛暑でした。
台風もすごかったですね。
「外、出たくないなー」
と心の中で叫んでも、外での撮影依頼があれば、どんなに暑くても、どんなに寒くても外でのロケを行わなければなりません。
撮影現場ではスムーズな進行を心掛け、天候や環境に応じて熱中症や日焼け対策、防寒などを行っていきますが、それでも本番中は我慢が必要な時が必ずきます。
カメラマンが寒さに耐えながら指先の震えを抑えていたり、撮影の合間に温かい飲み物を片手にしているのを横目に見ながら応援している自分も懐かしく思います。
このように各季節における撮影ネタは沢山ありますが、
今回は別の切り口で撮影と季節の関係を取り上げていきます。
例えば、夏向け商品の広告を出す場合、撮影はそれより前の春に行わなければなりません。
それはつまり、春なのに「夏のフリ」をして撮影をする、ということなんです。
先述したように今回は「撮影に季節は関係ない!」をテーマに、映像の季節感とは異なる時期に撮影しなければならない状況でのエピソードをご紹介します。

「息を吐くな」

実は筆者、沖縄に来る前に都内の方で同じような仕事をしていました。
実はこの「息を吐くな」という言葉、上司のディレクターが演者さんにお願いしたことでした。
これは春や夏の時期などのシーンを撮りたいのに、実際の撮影時期が冬というケースですね。
そんなときは、演者さんに息を吐かずに我慢していただくのですが、セリフがあるときがとても大変です。
もちろん、その時はこんな命令口調ではなく、「難しいことだとは思うんですけど、季節感が真逆なのでできるだけ白い息を吐かないようにしてほしい」と、見たこともないくらい頭を下げて懇願していました。
息をしないと人は死んでしまいますよね。
しかしながら、「息を吐かないで喋るなんて無理でしょ?」と思いながらもお願いし、演者さんに笑顔で頑張って頂くしかないのです。
何だか酷なお話ですね。

「汗をかくな」

「汗かくことを我慢してください!」とは、さすがに言えません。
ただひたすらに撮影直前まで出来ることを最大限行います。
例えば、うちわで扇いだり冷感シートの用意だったり、メイクさんにこまめにケアして頂いたりして対応するのです。
演者のケアはもちろん最優先ですが、忘れてはならないことは撮影に携わる皆んなが体調を崩さず臨むことが重要なので撮影クルーも代わりばんこでしっかり休息したり、こまめな水分補給が必要です。

「緑を探せ」

桜や紅葉など、日本ならではのその時期でしか撮れない美しいものは別として、なるべく緑のキレイな時期に、しかも晴れた日に撮りたいものです。
しかし諸事情で、冬に撮影しなければならないケースも多々あります。
そしてクライアントから「春のイメージでお願いします」と言われ、頭を抱えることでさえも。
そんなときは、まずロケ地の選定が重要になってきます。
実際のロケハンでは、例えば常緑樹(一年中、葉がついている植物)が多めの場所を探したりします。
どこで、どんなカットを撮るか、「どんなレンズを使ってこう切り取れば、春っぽく見えるだろう」などとイメージしながらロケ地を選定します。

ある程度、ベースとなる緑が撮れれば、後は編集時のカラコレなどで「冬には見えない」映像に仕上げることができるのです。

「雪を降らせ」

雪を降らすだけであれば、編集次第で何とかなるでしょう。
ですが場合によっては、アップショットの撮影がある現場もあります。
制作期間や予算などを考えると、足元のアップを全てCGでつくるのは難しい状況です。
その為、雪の上を歩くアップショットが必要な場面も。
リアルに雪のあるロケ地での撮影は現実的ではありません。
ではどうするのか?
人工雪の室内スキー場での撮影だったり、シンプルにスタジオで人工雪を敷いて「らしさ」を出す方法が選択肢として浮上します。
ロケーション的にイメージと合わせるのが難しいと言う場合には後者の方が合わせやすいかもしれませんね。
とはいえ、上手くいくのかと言う不安に苛まれるでしょう。
人によっては、「時間と費用だけが取られる」と言う考えの方もいらっしゃるでしょうが、
筆者自身は「とにかくやってみる」精神が良いと思っています。
悩んで足踏みしているだけでは何にも始まらないですからね。
なので「まあ、とにかくやってみよう」と、勇気を持ってインターネットなどを利用して人工雪を注文し、届いたら雪をつくってみましょう。
そうしたら思いの外、ちゃんと雪っぽくなることが多いように感じます。
その後はスタジオでテスト撮影を実施することも大切です。
人工雪を大量に購入して持ち込むわけにもいかないので、どれくらいの範囲まで雪を敷くのか、どれくらいの厚みがあるとリアルに見えるかなどを検証し、上手く合成するためのポイントを探っていきましょう。
また、撮影時も、だんだん雪が崩れるなどの苦労があったり、その後の合成も難航したりと、そんなに簡単には終わらないものですが、こういった手づくり感のある撮影は意外と楽しいものです。
そしてなにより、筆者も心配性な部分があるので不安な気持ちになることも分かりますが「ここまでやったんだから絶対この撮影は成功する」と言う自信を持って、本番に臨むといいと思います。

映像制作=奥深さ

以上のように、映像制作の裏には演者だけでなくスタッフの努力も隠されているのです。
だからこそと言いますか、映像制作に対し奥深さを感じる次第です。
また、これだから面白いと思うのは、
例えば何チームかに分かれて同じテーマについての映像制作を行えば、同じテーマでも関わる人によって全く違う映像が完成することでしょう。
その為、新しい視点からそのテーマとなったものを見ることができます。


「技術よりも映像が好きと言う気持ち、愛情が深いほどいい映像ができる」

こんな言葉を以前耳にしたことがあります。
筆者は本当にその通りだと感じています。
技術は後からついてくるでしょうし、まずは映像が誰よりも好きと言う気持ちが、映像制作を行なっていく上で大切な事だと感じています。
そしていつか、その「好き」を突き通していればそれは必ず自分の武器になると確信しています。

映像に正解はない

なんと言っても映像の奥深さと言えば、これのような気がします。
先述したように、何チームかに分かれて同じテーマについての映像制作を行えば、同じテーマでも関わる人によって全く違う映像が完成します。
1人ひとりの思考が異なる為、チームで動く分、対象物に対する各々のイメージがあるからこそ、それらを組み合わせることでそれだけ素晴らしい作品が生まれるのだと思います。
これは制作する側だけではなく、映像の制作依頼をしようとしている方にも同様に言えることではないでしょうか?
「こんな感じにしたい」というご要望や「こうしたらいいと思う」など、時にはご提案を頂けるとより良い作品ができると思います。
だからこそ、制作会社に依頼するときには遠慮などする必要はありません。
弊社では、企画や映像に関するご提案はもちろんさせて頂きますが、時にお客様のご要望を伺い、またそれを取り入れて実際に映像を作っています。

映像で伝える難しさでさえも奥深い

「映像で伝えるってムズい。。。」
これは最近、テレビ番組の企画で出演者に取材をしている時に筆者自身が実際に思ったことです。
まだ経験も長いとは言えないからこそそう思うのかもしれませんが、同じ業界の人ならば誰しもが思ったことがあるのではないでしょうか。
悪戦苦闘の毎日です。
自身が持ってきた素材を先輩ディレクターに確認してもらうと、「何を伝えたいのかわからない」と言われることもしばしば。
自分には分かるのに、なぜ人にはわかってもらえないのだろう、どうしたら伝わるのだろう、と考える日々でした。
でも確かに自分の素材を改めて確認すると自分は取材に行ってるから分かるのであって、先輩ディレクターだけでなく、テレビの前の視聴者にも分かりづらい内容だったのでそう言われるのはごもっとも。
どうしてその時に気づけなかったのか。また、その中で学んだのは、映像は、人と直接話をする以上に具体的に説明しなければ情報が伝わらないということです。
例えば、人と会話するときは、1から3に話が飛んだとしても、2の内容は何となく推測できると思います。
ですがテレビの場合は何かをしながら見ている人も多いので、2の内容がないと伝わらない。
むしろ、2.5まで説明しないと視聴者には理解してもらえないのです。
このような気づきを経て、目的やテーマを忘れないということを意識して日々励んでいこうと思いました。

季節外れの撮影も映像で伝える難しさも総じて楽しい

如何でしたか?
ここまで、映像の奥深さについて触れさせて頂きました。
筆者にとっては、真逆の季節のシーンの撮影も学びが多い取材時での素材収集も大変さはありますが、それ以上に楽しいですし、それこそ本当に映像って奥が深いなとしみじみ感じます。
きっとこれからも映像で伝える難しさに直面することも多いと思いますが、そんな時こそ楽しみながら多くの人が面白いと思うようなコンテンツ作りを心掛けていきたいと思いますし、映像の制作依頼が届いた際にも全力で何を伝えたいと企業様は考えているのかをいち早く認識し、多くのご提案や、時にご依頼主様の意見を取り入れたりするなどしてご満足頂ける映像を届けられるように頑張っていきたいと強く思います。

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